プロジェクト・ドロブラ STAFFインタビュー
Interview with トクマス ヒロミ
子どもの頃はどんな子どもだった?
うん、暗い子。ひとり遊びが好きな。幼稚園の校舎裏で一人きりで砂遊びをしてた。迎えにきたのも知らずにずっと遊んでた。あ、と思って校舎の表に出たら、しーんとして誰もいなかった。それで、お姉ちゃんに迎えに来てもらって、母にこっぴどく叱られた。それくらいひとり遊びも砂で何かを作るのが好きだった子でしたね。四人兄弟の三番目。上から姉ちゃん、姉ちゃん、私、五歳離れた弟。親のテンションは弟でマックス上がり、愛情を一身にうけてましたねー。ひとりで遊んでいてもさみしさは感じることはなかったですね。
心に残っている作品や人を教えてください
これって、すっごい難しい質問で。いっぱいありすぎて……作品もいっぱいあるし、その都度その都度かわってきてるし。人生変えたダイレクトなものが実はないのかもしれない。今の職業を目指そうと思ったきっかけは、高校二年の夏、美術準備室。誰もいない。「だれもいないんだ」と思って入って窓辺に立った時に、風邪がぶわんと吹いてきたのね。その時に、「あ、わたし、舞台空間というか美術をやりたい」と思ったの。ずっと悩んでいたんだと思う、無意識の中で。すっごい覚えてるんだけど、そこには矢沢栄吉の「時間よとまれ」が流れていて、古いんだけど(笑)。今でも忘れられなくて、やりたいって素直にスコン思えて。
演劇を始めることになったきっかけは?
映像の美術をずっとやっていたけど、それは勉強でしかなかったのね。当時、バラエティ番組の美術をやっていたんだけど、ある照明会社の社長が現場に来たときに私のプランを見て、「ちょっと劇場模型をつくってくれる人を探してる」って言われたの。もともと模型は作っていたから「いっすよ」と手伝ったのね。その世界がとんでもない世界で。その世界を表現するために知り合いの彫刻チームを紹介したりして絡んだ結果、仕込みとかに行くわけじゃないですか。
それで舞台を見た瞬間に、「まいったな」と思ったわけですよ。
映像だとカットカットで切られるわけですよ。空間を飾るときは、私は隅から隅まで飾る。本当はそれを全部見てほしかった。映像だと3カットくらいしか見てもらえない。でも、演劇だと隅々まで見てもらえるかもしれない。それまで演劇見たことなかったのよ。「すごいこれ!生だ!」と思ったの。
役者に飽きたお客さんとか、見てるでしょ(笑)。小道具やセットの隅にあるもので、ある役者に言われたことで、「これが一個置いてあることによって、自分のリアル感が増して、僕はとてもやりやすかった」って。小道具をうまく使う役者はいい役者だって、映像でも演劇でも一緒だと。ああ、これは面白いなと思ったの。いいの誰も気が付かなくて、常にそうやってつくってる、今も。
役者/スタッフとしてのあなたの強みはなんですか?
わたしね、お客さんになれる!
わたしはすごく単純な人間だから。いつもお客さんなの。判断基準がお客さんだから、強い。劇場までの道のり、エントランス、チケットを買って、お客さんはわざわざ時間を割いてくれる。その目線を持ち続けることがてきる。案を考えているとき はお客さんではないけど……。
制約はお客さんには関係ないって忘れちゃいけないなと考えてる。プランはプランで作品にもっと向き合ってるけど、稽古場ではお客さんのように笑っていて、こんなに笑っている美術デザイナーはいないって言われる。一番いいお客さんなの(笑)。
あなたの夢を教えてください
英語がしゃ べれるようになりたい。すっごい努力してる。英語で書かれた脚本が真っ赤っか! 活字になると全然だめ。メモばっかり。こんなにわかんないんだーと思っている。私にとってもはそれ! とにかく英語。あとは美術家としてひと肌ふた肌脱ぎたいと思っています。全然違うものをどんどん生んでいきたい。
生まれ変わったら何になりたい?
木になりたい。大きな木。欅の木、いや楠。きのみや神社になる楠のお嫁さんになりたい。
今回の舞台への意気込みを聞かせてください!
とにかく衣装! 今回は衣装です! 鏡をうまく使いたい。役者はオブジェであり、美術であり、キャストであるからね。